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かわいいひと

第6章 初めての人【宇随 天元】





命を削るように抱かれた翌日から美名保は起き上がる事が出来なくなっていた。


美名保の側にいる為に3日間里の任務を無視していたが、4日目に弟が離れまでやってきて
「これ以上里に迷惑をかけるならこの女を殺す」

父親と同じ目をした弟に美名保の存在が知れていた事に驚き仕方なく任務に出掛けた。

宇随は身内にまで見張りが付けられていた事に驚きもしたし、やっぱりな…とも思った。里にいる限り自由もない。


これでは美名保の居た島原と同じだな…

塀に囲まれて大門を通り外の世界には行けない遊女と、自由に生きている様で見えない鎖、掟、監視に縛られている忍の生活。遊女は年期が開ければ大門から出る事は出来るが…俺達は一生このままか

自分が頭領になるつもりはさらさら無いが、あの弟の下になるつもりも無い宇随は矛盾を抱えていた。



今回の任務先で宇随は運命を変える事になる鬼殺隊と鬼の存在を知る事になる。








初めて鬼との戦闘を経験し、鬼殺隊という組織を知りたいと宇随は隊士にお願いをして元雷柱の育てを紹介してもらった。


朝方に宇随が帰宅すると嫁達が飛びつかんばかりに走ってきて、美名保がまた吐血した事を伝えた。
離れに入った宇随が見た美名保は、たった1日会わなかっただけなのにずいぶんてやつれていた。

明日の朝は迎えられないのだろうな…


「美名保と2人だけにしてくれないか?」


そう言うと嫁達は頷き、それぞれが美名保の手を握り一言ずつ声を掛けて母屋に帰っていった。

2人きりになると美名保は手を伸ばし

「天元…」 と、宇随を呼んだ。

宇随は美名保を腕に抱きしめて冷たい頬に口付けを落とした。

「似てると思ったの…付いてきてって言った…天元の目が私の寂しさに似てる気がしたの……何でだろうね…ありがとう……今生は…短い運命だった……生まれ変われたら天元の所に…行きたい…」

宇随は頬に口を寄せたままでいた
美名保の目から涙が流れ、それに重なる様に宇随の目からも涙が溢れ美名保の涙と合わさった。


「絶対に見つけてやるよ」


魂を引き留めたくて冷たい体を強く抱きしめた。

「……今生に…大切にしないといけない人をちゃんと愛してね……私は来世で待ってるから……天元が私の所にまた…帰ってくるの待ってる……」







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