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かわいいひと

第6章 初めての人【宇随 天元】





宇随は風呂に入り、寝間着に着替えて美名保の隣に敷いてある褥ではなく、美名保と同じ褥に入って美名保を後ろから抱きしめた。


美名保が触れた指が、雛鶴の言っていた通り冷たかったからだ。



「須磨さんはね色々と楽しい話をしてくれて、マキオさんは温めた羽織を私に掛けてくれて寒くないように火鉢を出してくれた」


「…そうか」


「雛鶴さんの作ったお粥とスープは優しい味がしたし、今みたいに添い寝してくれた時は柔らかくて気持ちよかったでも…天元様はかたい」


美名保の細い肩が揺れてクスクスと笑う

「悪かったな」と宇随が言うと
「でも、同じくらい温かいよ」と答えて笑った。



「様はやめてくれ」


「天元…でいいの?」

答える代わりに、美名保の体を強く抱きしめて帯をほどき浴衣を脱がせた。

「なんで俺にさらわれた?」

薄暗い部屋で起き上がった宇随は、美名保の視線を感じながら帯をほどき寝間着と下着を足元に落とした。


美名保の上になりもう一度聞いた


「兄さんが来たと思ったの」


宇随の口付けを全身に浴びながら震える唇を動かした


美名保が赤い着物をきていたのと同じ理由で兄は黒の着物ばかりきていた。
大量に吐血して、意識が朦朧とする中で上から降りてきた黒装束の宇随を兄が迎えに来たのだと思っていた。



宇随の手が舌が、美名保の冷たい肌の上をくまなく触れていく。始めは優しかった動きが、美名保が息を乱し体温が上がる頃には全身に赤い痣が咲き、体の奥では宇随の指が蠢く。美名保は初めて経験する痛みと女の喜びを知った。

煎じ薬のせいなのか、最後のいのちの揺らめきなのか美名保の煩悩は燃え上がり何度も宇随を求め、それに宇随は答えた。


「て……天元…」

空が白み始める頃、美名保が最後に宇随の名前をかすれた声で叫び体をしならせた。宇随がしっかりと腰を抱き、奥深くに命の滴を注ぎこむと美名保はそのまま気を失った。




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