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かわいいひと

第6章 初めての人【宇随 天元】





黒い血は少しずつ出血してるだけだからまだいいが、綺麗な赤い血はダメだよもう肺がほとんどダメになっている証拠さ


以前、兄さんが死ぬ前に真っ赤な血を吐いた時に近所の藪医者が言った事を美名保は思い出していた。兄さんの治療費の為に美名保は島原に売られていた。


売られてた時にはもう肺の病気に郭主も気付いていたが、美名保の器量に金になると踏んだ郭主はその計算通りに莫大な金を美名保は体も売らずに作り出した。なので、いつ美名保が死のうがどうでもよかった。




「赤い着物に赤い布団は血を吐いた事を隠す為だったんだな」


吐血した量と真っ赤な血の色に、宇随はもう随分と前から美名保は血を吐いていたのだと分かった。


宇随は美名保の服を乱し、首筋に美名保が吐いた血を塗りつけた。一目見て死んでると、思わせるには足りない血液は野良猫を利用して美名保の死を偽装した。


「残りの時間を俺にくれないか?」

そんな宇随の訴えに、何故か美名保は首を縦に振り承諾した。





初めての男になる喜びに座敷をでると顔がにやけて仕方がない。
これから先、美名保は何人もの男を受け入れる。だが、まだ男に触れられる喜びを知らない女を自分の手で舌で陰茎で乱し、初めての痛みと喜びに導く事ができるただ1人の男になれる事に想像しただけで臍にまで届きそうなくらい反り上がっていた。


襖を開けると血生臭い臭いと黒装束の馬鹿デカイ男が血塗れの美名保を見下ろしてる多きな目がギロリと睨んできた。美名保の初めての相手になるはずだった男は大声をだし悲鳴を上げてその場に腰をぬかした。


郭の男衆が何事かと駆けつけ、目の前の惨劇に一瞬足がすくんだ。

これだけ目撃した奴がいれば、あの太夫も死んだと思い満足するだろう

美名保を担いで逃げる為に宇随は急ぎ仕込んでいた火薬玉を爆発させた
爆発音が轟く、煙玉で視界を悪くして郭内は逃げ惑う客と女郎で混乱を極めていた
郭からは炎があがり半鐘の音が鳴り響く中、宇随は美名保を担ぎそっと姿を消した。















嫁達は、血塗れの女を連れ帰った宇随に何も言わず、美名保を風呂に入れて手当てをして清潔な浴衣をきせて屋敷の離れに布団を敷き寝かせた。



「美名保は労咳だ。それにもう長くはない。面倒は俺が見るから離れには近づくな」



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