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かわいいひと

第6章 初めての人【宇随 天元】






「おまえ、もう時期水揚げらしな」


少し頬を赤くして「はい」と答えた。

そっと肩を抱き耳に唇を寄せる

「本当に誰からも何もされてないのか?」

息を吹き込みながら囁き、着物に手を差し込み太腿の内側をなでる。うなじまで真っ赤に染め上げて「ありません」と思いの外ハッキリとした返事が返ってきた。

「私の体、吐く息、つむぐ言葉、視線全て郭の物です。これ以上を望まれるのなら水揚げが済んだ後に私を買って下さい」震えもしない凛とした声が言う。


寂しげな美人だと?
とんでもなく肝の据わった女じゃねぇか…




























「天元?どうしたのボーッとして、お腹空いた?パン食べる?」


今の海奈帆が俺に竈門ベーカリーの袋を差し出す。


「今から煉獄と見回りでしょ?食べなって!じゃかいもパン美味しいよ」

海奈帆の好きな炭水化物攻めだな…

「海奈帆…俺パンは牛乳が無いと無理なんだわ」

「……なんか分かる」


「じゃぁ宇随行くか!立花も危ないから早く帰れよ!」


海奈帆は煉獄に、「煉獄だけが私を女の子扱いしてくれる」と喜び、分かりました煉獄先生と言って片付けを始め帰る準備を始めた。
見回りの途中で宇随が「海奈帆なら大丈夫だろ?」と煉獄に言うと

「あぁ!大丈夫だが、立花は集中すると時間が分からなくなるからな、声を掛けるようにしてるんだ」


あぁ…だからこの2人は放課後によく差し入れしてるのか…


海奈帆は仕事柄今の季節は汗だくになるし、冬も庭の手入れで泥だらけになる事も多いので、冨岡に言って運動部専用のシャワー室を借りている。

シャワーの後に乾かすのが面倒だからと、髪も運動部の男子のように短くしていた。後頭部の丸みの形の良さが際立ち
「アフリカ系のモデルみたい」と女子生徒からの評判もいい。本人はタオルで拭くだけでいいから楽!と、気に入っている。

生徒用のシャワー室を出た時は短髪、178センチの長身、男物のジャージ姿だから、後ろ姿は男だった。冨岡はそんな海奈帆の姿は見慣れているし、長い付き合いだから歩き方で海奈帆と分かったが、一緒に歩いていた不死川は分からなかったらしく生徒だと思い


「おい、そのジャージ私服か?」

と声を掛ける。振り返った海奈帆を見た不死川の顔を見て冨岡は顔を反らして笑ってしまった。

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