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かわいいひと

第6章 初めての人【宇随 天元】





「ねぇ冨岡、食堂いかない?」

職員室に海奈帆が入ってきた、冨岡、煉獄、宇随、立花が高校の時からの友達なのは職員には知れ渡っていたし冨岡は幼なじみだ


冨岡は引き出しから竈門ベーカリーのパンを取り出す

付き合いの長い海奈帆には「俺はパンがあるから行かない」という無言の主張は伝わった

煉獄を見ると大きな弁当を開けてたし、宇随は女子生徒に囲まれて差し入れの弁当を貰っていた


「ねぇやっぱ付き合ってよ」

「何でだ?」

「1人で食べてると生徒が話してきてウザイのよ」


「他の2人は?」

「あの2人は生徒に人気あるから役に立たない、冨岡は無いから」

一年も経つと海奈帆の性格は職員には知られていて「モデルのような美人庭師」から「性格のキツイ残念な美人」に認識は変わっていた



「心外だ」

そう言いながらもパンを持って立ったから海奈帆に付いて食堂に行くらしい

「生徒をウザイとか言うな」


「…はい、冨岡センセ」



食堂に美男美女の2人が現れ生徒はざわつき視線が集まる。まだ頭がお花畑の思春期の生徒達は、海奈帆と冨岡の2人の関係が気になる所なのだろう。そしてこの2人はそんな視線は中学時代から浴び続けてきたから今さら何とも思っていない。


「体育教師でしょ、昼パンだけで足りるの?なんか買ってやるから食べなさいよ」

「お前は食いすぎじゃないのか?」

「私は昼から花壇耕すからいいの!焼きそば?チャーハンならスープ付いてるよ?」

「炭水化物だな」

「そんな事気にするんだ…」


冨岡はミックスフライを選んで海奈帆のトレーに乗せスタスタと空いてる席に座り姉さんが毎日持たせる青汁を飲んでいた。
海奈帆はひとりっ子だったが、父親が剣道の道場をしていたせいもあり、年下の生徒の面倒をよく見ていた。冨岡は長男だが上に姉がいて、この姉がよく弟の面倒をみていたから自然と面倒を見てもらう事に冨岡は慣れている。


席に付きミックスフライをカレーパンに挟み食べる冨岡を眺めて、子供がいたらこんな感じかな…と、海奈帆はぼんやり考えた。
この2人、仲は良いのだがお互いを全く恋愛対象と見ていない

だから、口の端にカレーパンの屑を付けたままの冨岡の口を海奈帆がナプキンで拭ってもお互いは何とも思ってはいないのだが、それを見ていた生徒はキャアキャアと騒いでいた



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