第1章 歩く姿は… 【不死川 実弥】
一緒に暮らしてみると不死川様は規則正しい生活をしていた
起きたら基礎体力と体幹を鍛える訓練をしてお風呂、朝食を食べて仮眠をとり、お茶と御八つを食べたら自身の風の型の鍛練をしたり、他の柱の方と手合わせをしていた。
日が暮れないうちに夕食を食べて、夜は担当地区の巡回にいき夜明け近くに帰宅する。
だいたいこの繰り返しだった。
始めは仮眠の邪魔をしないよう音に気を付けていたけど
「気にしなくていい」と言われてからは私も普通に働いていた。
毎日忙しくしている不死川様に少しだけ我が儘を言って、一つ約束事を作った。
【御八つの時間だけは一緒に過ごす】
巡回地区によっては夕食の時間も違ったりするので確認したり、私も蝶屋敷に手伝いを頼まれてる時は雇い主である不死川様に許可もらったり、お互いの事を報告する時間にしていた。
港町で鬼が出るとの情報で、1週間近くかけた任務が終わった事もあり
今日は珍しく着流し姿で本を読んだりとゆっくり過ごしていた
港町で食べたのが旨かったからと、お土産にもらったカステラと、濃いめに入れたお茶を持ち縁側に声をかけた
「不死川様、休憩しませんか?」
読んでいた本を閉じ、私からお盆を取ると隣に置いた
いつもさりげなく優しい、私が座りやすい様に先にお盆を取ってくれる
「ありがとうございます」
お盆を挟んで隣に座り、首をかしげて不死川様の顔を見るけど、いつも目を合わせてはくれない。
「なんの本を読まれてるのですか?」
カステラを頬張りながらたずねたら真顔で一言
「春画」
飲み込もうとした時だったので盛大にむせてしまう
「ほらお茶を飲め」
差し出されたお茶でどうにか流し込んでると
「クッ…クッ…クッ…」
横を見ると、初めて見る笑顔で笑っていた
「本気にしたのか…クックッ」
そんな笑顔がかわいいなんて反則だよ
「もう!ひどいです」
おもわず不死川様の肩をたたき抗議するもツボったみたいで、分かった分かったと言ってまだ笑っていた。