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かわいいひと

第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】





順太郎くんが久しぶりに火垂姉さんの横で昼寝をしている頃


名城様の広い屋敷に一羽の鴉が私の足元に降りてきた




















どうやって帰ってきたのか覚えていない


ただ布団に寝かされていた愛しい人の耳に鼻を寄せてもあの匂いは無くなっていて私の世界から消えてしまった




全てが終わり 杏さまは母上様隣に眠っている
せめて49日までは生きていよう そう思い1人屋敷で過ごしていた

そんな私の決意に気付いているのか しのぶ様は毎日のように鴉を飛ばして私の様子を見ている しのぶ様だけではなく毎日数羽の鴉が来るからきっと柱様方には何かしらの感が働いているのだな…と思った


杏さまは私に後を追って欲しいなんて考えていない事は 私が嫌と言うほど分かっている

でも 彩りを匂いを感情を無くした世界で生きていく自信がない

鬼を滅する為に命をかけて戦っている鬼殺隊…


「分かっていたのに…」

こんなにも自分が弱いとは 甘いとは思っていなかった



















「ごめんください」



弱々しい声が玄関から聞こえる

緑と黒の市松模様の羽織を着た 顔色のひどく悪い少年が立っていた



「深影さん…ですか?」

初対面の人は私の眼帯姿に注目する この姿になって3年を過ぎようとしているからもう慣れてしまっている…


この少年も私の顔を見て少しだけ目を見開いた


「煉獄さんが…言っていた通り柔らかい…ひ……かり……」


独り言を呟き 満面の笑みを浮かべた…




それから…彼は気を失ってしまった



少年と言っても背丈や体格は流石に鬼殺隊士だから 私の力ではどうにも出来ない

ちょうど庭に誰かの鴉がいたので「誰か急いで連れてきて」
とお願いしたら不死川様がすぐに駆けつけて着た


あぁ…あの毛並みの艶やかな鴉は不死川様のなのね



「突然倒れてしまったので 取り敢えず部屋に運んで下さい」


何故か汚れている羽織と隊服を脱がせて 不死川様に抱えてもらい 私は客間に布団の準備をしてから杏さまの寝間着を出した

何も言わずに不死川様は着替えを手伝ってくれた



寝間着に着替えさせ今は杏さまの布団で寝ている少年は顔に痣があった



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