第4章 私の太陽【煉獄杏寿郎】
しばらく離れてしまう寂しさからなのか 珍しく深影から 俺の布団に潜り込んで耳に鼻を寄せて匂いを嗅いでくる
「杏さま…」 囁かれれば鼓膜に伝わる響きに脳髄まで痺れてしまう
初めて深影に恋をしていると自覚してから6年を過ぎて 夫婦になった今でも深影に触れる時は鼓動が早くなる
しばらく会えなくなる…そう思うと抱きしめる腕にいつもより力がはいる
俺の物だと消えない印を刻みたくて 噛みついてしまう
それを甘い刺激として受け入れてくれる深影が本当に俺の細胞の一部になればいいのにと思いながら 深く体を落とした
火垂姉さんの悪阻は思っていたよりもひどくて 私の顔を見て安心したのか次の日から床から動けなくなってしまった
お腹の子供の為にと頑張って食べても戻してしまう
しのぶ様から妊婦にいいと言われた薬湯だけはどうにか飲めていた
それを飲み続けて3週間くらいたった頃悪阻の症状も少しは落ち着いて 顔色も良くなりお粥も茶碗一杯なら食べる事ができる様になった
旦那様の名城様も姉の調子が良くなった事に安心して笑顔でお粥をすくい姉の口元に持っていく
「ダンナさま…1人で食べれますよ」
「私がしたいのだからいいじゃないか」
そんな姉夫婦の可愛らしい姿を膝に乗せた甥っ子の順太郎くんと見ていた
杏さまは元気にしてるかな…
順太郎くんの頭を嗅ぐ まだ甘い子供の匂いがした