• テキストサイズ

弱ペダ:巻島裕介と触れあい10題

第2章 額をこつん:同学年箱学 甘







「わりぃ、遅くなったッショ。」

部室の外に設置されているベンチで愛羅は
小さく丸まり座って寝息をたてていた。

他校の制服を隠すために着ている巻島のジャージに
すっぽり収まっている姿は愛しくて仕方がなかった。


「愛羅?」


隣に腰掛け、彼女を見つめると
伏せられた瞼には涙が浮かんでいる。

「泣いてる、、、?」

ソッと巻島が涙を拭うと、愛羅が身動ぎ
パタパタと瞼をしばたたいた。

「ゆぅすけ?」

巻島はぼんやりしている愛羅の額に
コツンと
自分の額を合わせる。


「、、、愛羅。なんかあったのか?」

彼女が答える前にソッと頭や頰を撫で、
少し濡れていたまぶたを拭った。
くすぐったかったのか、
愛羅はクスクスと笑みをもらす。


「帰るッショ。」
立ち上がって手を差し出すと
嬉しそうに自分の手を重ねる愛羅。





---





少し先を歩いている鼻歌まじりの愛羅は
いつも通りと言えばいつも通り。


「こうやって、2人で帰るの初めてだね。」
愛羅が振り返る。


「尽八とね、尽八の彼女が
2人で帰ってるのいーなーと思って。」


そしたら、裕介に会いたくなったの!


ニッコリ笑って巻島の手をとる愛羅は
いつも通りのはずなのに
彼には、どこか違ってみえていた。






「、、、で、ホントは?」

巻島が立ち止まって問う。

彼女は目を見開いた。




「裕介には、隠し事できないなあ。
なんでもお見通しだね。」

フッと微笑んだ愛羅の瞳に涙が浮かぶ。




「、、、当分、会えなくなるの」

巻島は言葉を失った。



頻繁に会っていたわけではなかったが
面と向かってそう言われると嫌な予感がよぎる。





どこか遠くに引っ越すのか

俺の知らないところで重い病気にかかっているのか

それとも


他に好きな奴ができたのか、、、




「どうした、、ッショ?」

口をついて出た言葉が情けなさすぎて
我ながらダサいッショ。




/ 35ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp