第2章 額をこつん:同学年箱学 甘
突然、会いたくなったんだもん。
2.額をこつん
門の前に見慣れない制服の女子が立っていた。
「困ったなー。」
顔立ちの整っている彼女に周りは一目置いていたが
当の本人は全く気にせず、
携帯をポチポチ触っている。
どこからか自転車の音が聞こえてきた。
「来たっ!!」
身を乗り出して見てみると、
独特なスタイルで登ってくる姿が目に入る。
「ゆーすけーーー!!」
ブンブンと手を振ると、呼ばれた彼は目を見開いた。
「いっ!!? 愛羅?!」
周りにいたメンバーは、さらに驚いた顔をしている。
「裕介?!」
「箱学?!」
「来ちゃった。」
ドラマのような、小説のようなセリフを
照れたように言いながら微笑む姿が
絵になり過ぎていて、
その場にいた全員が言葉を失い頰を染めた。
---
「ハァー、、、」
巻島は目の前の光景を見て深く溜め息をついていた。
「しっかし、巻島に
こんな可愛い彼女がいたなんてなあ。」
田所が愛羅を上から下まで見ながらウンウン唸る。
鳴子は驚きのあまり
言葉を失っているようで口をパクパクさせている。
「さすが、巻島さんです!」
小野田にいたっては、もはや意味がわからない。
「可愛いだなんてそんな。」
恥ずかしそうにはにかむ愛羅は誰が見ても可愛い。
いや、そうじゃないッショ!
自分にツッコミながら
目の前の光景にどうしたものか、と頭を抱えた。
「箱学って、アイツとどこで会ったんだよ?」
田所の問いかけに
それは、尽八がと話始める愛羅。
ほっといたら全部話すッショ。
てか、田所っちそれ以上はやめてくれ。
「巻島、今日の練習はおおむね終わったから
神月さんと帰ったらどうだ?」
頭を抱えていた巻島に金城が助け舟をだす。
金城の提案に甘えさせてもらうことにした。
急に会いにくるなんて
きっと
何かあったんだろうから
---