第8章 胸に顔をうずめる:同学年総北 シリアス
「まき?暑い?大丈夫??」
アイシング片手に駆け寄ろうとした愛羅に
首を振り、目で金城を見やる。
愛羅はアタフタしながら金城に
ドリンクとタオルを持っていった。
なんで金城の時だけ普通にできねぇの?
マネージャー 何年やってんだよ。
金城と楽しそうに話し
頰を染めて笑う愛羅にもイライラした。
俺にはそんな顔見せたことないのに。
「巻島、なんか機嫌悪くないか?」
田所っちはよくわからないところが鋭い。
「別にそんなことないッショ。
もう一本行ってくるわ。」
俺は空いたボトルを田所っちに
渡してペダルをこぎだした。
自ら選択した立場なのに
怒る資格なんてないのに
なぜか イライラがおさまらなかった。
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携帯のバイブがなる。
ディスプレイに映る文字は〈東堂 尽八〉。
ジーッと眺めていると、プツンと切れ
再び、バイブがなり始めた。
また、東堂だろうとディスプレイを見てみると、
〈愛羅〉
イヤな予感がした。
すぐに通話ボタンを押すと
「どうした?」
「まき、何してるかなと思って。」
そう言う彼女の後ろはどうも騒がしい。
まるで外にでもいるような。。。
あーー、もう!!
「どこにいる?!」
河川敷までロードを飛ばす。
どこまでも愛羅に甘い。
あんなにイライラしていたのに
電話一本で俺の機嫌はなおってしまう。
これも惚れた弱みと言うヤツだろう。
「愛羅!こんなとこで何してんだ。」
途中のコンビニで買ったコーヒーを差し出すと
「ありがと!!」
愛羅はニッコリ笑った。
この笑顔に弱いんだ。
こいつ、分かってやってるんじゃないだろうか。