第4章 背中合わせ:年下総北 悲恋
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なんか、あったかいッショ。
ん?あったかい?
たしか、俺、図書室にいたッショ?
目を覚ますと俺のすぐ前、腕の中には
「、、、起きました?」
ここにいるはずのない真っ赤な顔した後輩の姿。
「なっ!?」
そういえば、なんか起こされそうになったから
うるさいと思ったッショ。
「な!?じゃないです!!
もう!ビックリしました!
恥ずかしすぎて死にそうです!!
先輩の所為で当分、図書室来れないです!!」
彼女を自分の膝から下ろすと
後輩は小声でとても怒っていた。
「、、、悪かったッショ。」
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ようやく目を覚ました巻島先輩は
私を見て目をパチクリさせていた。
誰のせいでこんなことになってんのよ。
あまりにムカついてつい、いろいろ言ってしまった。
「もういいです。
閉館時間なんで帰ります。」
カバンを持って帰ろうとした時、
先輩が私の腕を掴んだ。
「待つッショ。もう遅いし、送る。」
「は?」
驚きのあまり変な声が出た。
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彼女は目を丸くしていたが、
一緒に帰ることを了承してくれた。
遅い時間に女子1人で帰すのも危ないし、
何より俺はもう少し彼女と一緒にいたかった。
どちらかと言うと俺のワガママ。
「すみません、お待たせしました。」
下駄箱の位置でようやく彼女の学年がわかり、
「お前、一年ッショ? 名前は?」
そういえば名前すらも知らなかった。
「はい。
1年 神月 愛羅です。
、、巻島先輩。」
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そうか、
先輩は私の名前すら知らなかったんだ。
普通、そうだよな。
名前を調べたり、先輩の周りの事を聞いてみたり
いつから、
こんなに気になる存在になっていたんだろうか。
「誕生日いつなんですか?」
「血液型はなんですか?」
「くも太郎が好きなんですか?」
「自転車って、どんなとこが楽しいですか?」
いろんな当たり障りのない会話をした。
と言うか先輩、
誘ってくれた割に全然会話してくれない。
色々、話をしたけど
どうして図書室で勉強してるんですか?
とは、聞けなかった。
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