第4章 背中合わせ:年下総北 悲恋
彼女はほとんど毎日図書館に来て
本を開いては眠っていた。
ちょこちょことよく動き
まるでハムスターを見ているようだった。
いつものように勉強の息抜きに
彼女を目で追っていると
本棚の前で上の方に手を伸ばし、
うんうん、唸っていた。
どう見ても頭ひとつ分足りていない。
おそらく、必死で手を伸ばす余り
上を見ていないのだろう。
見かねて席を立ち、声をかけてしまった。
「そりゃ、どうがんばっても無理ッショ。」
彼女が取ろうとしていた本を差し出すと
目を丸くして、「た、、」と呟いた。
た?
たってなんッショ?
疑問に思い繰り返すと
「た、、助かりました!ありがとうございます。」
そう言い、自分の席に戻っていった。
変なヤツ。
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今日は何を読もうかと本棚の周りを歩きまわる。
玉虫先輩について新しく得た事はたくさんあった。
巻島先輩という名前で
自転車部に入っていると言うこと。
それと進路のこと。
ふと、目に入った本に手をかけようと
背伸びをしたとき
ヒョイと上からその本を奪われていった。
本の行方を辿っていくと
「もしかして、これッショ?」
玉虫先輩。
「あ。そんな急ぎじゃないので大丈夫です。」
私が首を振ると玉虫先輩は
「俺、そんな使わねぇから
ちょっと座って待ってろ。」
と言って私の腕を引っ張っていった。
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