第4章 背中合わせ:年下総北 悲恋
どちらが最初だったかなんてわからない。
4.背中合わせ
夏休みの図書室の利用人数はそう多くない。
だいたい決まった人が決まった場所に座っていた。
いつの間にか現れたその人は私の特等席の後ろに
座るようになっていた。
カリカリカリ
カリカリカリ
文字を書く音と
ペラ、、、ペラ、、ペラ、、、
本のページをめくる音が響く。
それは彼の音と私の音。
初めて見かけた時、目を奪われた。
あまりに図書室とは不似合いすぎて。
でも、その独特な髪の色や肌の色が透き通っていて
綺麗だとそう思った。
それだけでよかった。
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進学のために通っていた図書室は
同じ校内のはずなのに、どこか雰囲気が違った。
シンとしていて
カリカリと俺の文字を書く音が響いているような気がした。
突然、ゴンッと鈍い音が響く。
何事かと思えば、
後ろに座っているヤツが机に頭をぶつけたらしい。
振り返ってみると、フラフラと頭が動いている。
わざわざ夏休みに図書室きて
居眠りしてるヤツってどんなヤツッショ。
最初はただの興味本位だった。
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「んーっ。」
探していた本が本棚の上の方にあり
届くか届かないか絶妙な距離だったから
背伸びをしてみたがやっぱり届きそうで届かない。
もう一回と思って手を伸ばした時、
頭の上から声が聞こえた。
「そりゃ、どうがんばっても無理ッショ。」
声の主は私の後ろに座る綺麗な髪の玉虫先輩。
先輩は私が取ろうとしていた本を手に取っていた。
なんで取りたい本わかったんだろ?
前に受付の人に聞いてみたら先輩だと言う事は
教えてもらったが
それ以外はあんまりよくわからなかった。
「た、、」
玉虫先輩と言いかけて口を押さえる。
さすがに失礼だ。
「た?」
先輩は怪訝そうな顔をしている。
「た、、助かりました!ありがとうございます。」
先輩から本を受け取りいつもの席に戻った。
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