第4章 霞
その日、久しぶりの休日を獲得できたので木ノ葉をぶらぶらと散歩していた。
サスケもカカシさんとの修行らしく、私は一人の時間を持て余していた。
ふと目に止まったのは見慣れない装束の二人組だ。
きっと上忍たちが目を凝らしているのだと思うが、一応自身が忍であることを悟られないように通り過ぎてみる。
見間違えるはずがなかった、二人組の一人は、サスケを私に託して、一人重荷を背負って、ずっと愛し合うと誓ってくれた、うちはイタチだった。
雪華「い、たち?」
もうあの日以来一度もあっていない、会ってはならないと思っていた。だって、会ったら感情が飛び出してしまうから。
イタチ「・・・」
横にいたもう一人は私の方を見て、イタチに「殺しますか?」と尋ねていた。イタチは首を横に振ってこちらを見据えていた。
雪華「なんで、ここにいるの?かえって、きたの?」
そんなわけがない。あの日、彼の覚悟を聞いた、彼の本心を聞いた。だから、送り出すキスを捧げたのに。私がこれを聞いてしまえば、彼は、辛くなるに違いないのに。
イタチ「・・・」
雪華「ごめんなさい、…」
イタチ「すまない」
雪華「いいの、いいのよ。うん…。体は平気?ごはんはちゃんと食べているの?」
イタチ「ああ」
雪華「無理はしていない?」
イタチ「ああ」
雪華「そっか。良かった。・・・サスケは任せてね、私が守って…みせるから」
イタチ「頼む」
雪華「うん…会えて良かった、ばいばい」
イタチ「ああ」
イタチに別れの挨拶は出来た。後は、普通にこの場を離れればいい。私とイタチは今は、これからも会わなくていい。彼の望みの為に。
去り際にふと彼が私にしか聞こえない声でささやいた。
イタチ「俺はいずれサスケに殺される。見守ってくれ」
振り返ればもうそこに彼の姿はなかった。
その後、イタチともう一人の男 干柿鬼鮫はカカシさんら上忍と対峙した。
それだけで何もせずに木ノ葉を出たという。