第2章 想い想われ波乱万丈(桜月かりん様リクエスト作品)
「冨岡さん。あのね、いろいろ言いたいことはあるけれど。まずなんでそれを選んだのか教えてもらえる?」
「店に入って一番最初に目についた。中々に愛らしいと思うんだが・・・」
義勇の言葉に汐は大きなため息をついた後、鬼のような形相で彼の着物を掴んだ。
「おのれは馬鹿かアアア!!こんなもん贈られて喜ぶと本気で思ってんのかアホンダラ!!あんた楓をいったい何だと思ってんの!?」
捲し立てる汐に、義勇は【心外!】と言いたげに表情を歪ませた。
「心外!じゃねーよ!心外なのはこっちだわ!こんな呪いの人形みたいなもん贈られたら、恨みがあるようにしか思えないわ!!つーかなんでこんな悪趣味な商品が置いてあんのよ!?店の雰囲気に全く合ってないでしょうが!!」
大声で突っ込んだ汐は、ゼイゼイと息を乱しながら着物から手を放す。そんな汐を見て義勇は困ったように眉根を寄せ「すまない」とだけ答えた。
「俺はこうやって誰かと共に街を歩くことも買い物をするのも初めてだから勝手がわからない。だから、お前には苦労を掛けてしまっているな」
本当に済まなさそうにする義勇に、汐は顔を伏せて「もういいわよ」とだけ答えた。