第2章 想い想われ波乱万丈(桜月かりん様リクエスト作品)
「はぁ・・・もういいわ。とにかく、歩きながら考えましょう。歩いていれば少しはいい案も浮かぶかもしれないわ。でも、冨岡さんもちゃんと考えてよ!?」
「・・・努力する」
義勇はそう言って汐から顔を逸らした。相変わらずの態度に汐は苦笑いを浮かべながらも、二人は並んで歩き出した。
(とはいえ、楓なら何を上げても喜びそうな気がするけれど、そう言うとこの人、とんでもないものを選びそうな気がするからなぁ)
どうしたものかと考えながら歩いていると、汐の目にあるものが飛び込んできた。
「あ、冨岡さん!」
汐は足を止め義勇の着物を引っ張って止めた。何事かと思い目を向けると、そこは装飾品や小物を扱う店だった。
「とりあえずここに入ってみない?何がいいかわからないときには基本から攻めてみましょ?」
汐はそう言って義勇の手を引っ張り、店の中へ足を進めた。
中には日常生活に使う小物や装飾品などの様々なものが所狭しと並んでいた。汐もこういう店に来るのは初めてで、知らない世界に胸が躍った。
(でも、あたし自身も贈り物を選ぶことってあんまりないからなぁ・・・。あたしが楓だったらもらってうれしいものは・・・)
「大海原。こういうのはどうだ?」
汐が小物を選んでいると、背後から義勇の呼ぶ声がした。汐が振り向くと、彼は真剣な表情で持っている。
だがそれは、何かの呪いで使うもののような、お世辞にも女性に贈るものとはいいがたい木彫りの人形だった。