第1章 節分ってなあに?(節分特別編)
「やった、待ってました!やっぱり節分と言えばこれ、【恵方巻】よね」
目を輝かせて言う汐に、炭治郎、善逸、伊之助は怪訝そうな顔で彼女を見つめた。
「・・・恵方巻ってなんだ?」
「さあ。俺も初めて知った」
節分すら知らなかった伊之助は勿論、炭治郎と善逸も初めて聞く言葉に首を傾げた。
「えーっ、あんたたち恵方巻知らないの?太い巻き寿司を作って、恵方っていう福が来る方角を向いて願い事をしながらかじって食べるの。その間に絶対に喋っちゃいけないのよ」
汐の説明に三人は感心したように首を振った。
「今日のはあたしの友達に協力を頼んで仕入れてもらったの。海の幸なんてここじゃあんまり手に入らないからね」
汐はそう言って全員に恵方巻を配ると、しのぶに借りてきた方位表を並べて指さした。
「今年の恵方は「西南西」だから、あっちを向いて食べるの。ああ、包丁で切っちゃ駄目よ。福を切るって言って縁起が良くないからね」
「うだうだ言ってねぇで早く食おうぜ」
「おい!せっかく汐ちゃんが説明してくれてるんだぞ。ったく、せっかち猪め」
待ちきれない伊之助とあきれる善逸を見て、汐もそれもそうかと言いたげにうなずくと、恵方巻をもって西南西を向いた。