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【鬼滅の刃】ウタカタノ蕾【短編集】

第4章 一日遅れの祝い唄(竈門炭治郎生誕祭特別編)


「あたしだってそうよ。あんたとこうして同じ場所で同じ時間を生きて、あんたの傍にいることが一番うれしい。今年は遅れちゃったけれど、来年はちゃんとあんたにおめでとうっていうわ。来年だけじゃない。再来年も、その後も、ずっと。あたしが生きている限り、あんたにずっとおめでとうって言ってやるんだから!」

汐の言葉に炭治郎は目を見開いて汐を見た。汐の顔は暗がりの中でもわかる程赤く、そんな彼女から漂ってくる甘い果実の匂いに、炭治郎の頬も熱を持ち、心臓が早鐘の様に打ち鳴らされていった。

「汐・・・、お前、それって・・・」
「だから、死ぬんじゃないわよ。あんたが死んだら、あたしはあんたにおめでとうって言えなくなるんだから」
「・・・だったら今、言ってくれないか。今年の分のおめでとうを、俺はまだお前の口から聞いていない」

汐が顔を向ければ、真剣な表情をした炭治郎と視線がぶつかり、思わず息をのんだ。鳴りやまない鼓動を抑えるように胸元を握りしめながら、汐は口を開く。

「炭治郎。お誕生日、おめでとう」
「・・・ありがとう」

汐の透き通るような声が炭治郎の耳を通り、甘い果実の匂いが彼を満たしていく。互いの瞳に映る自分自身を見つめながら、ごく自然に、二人はゆっくりと顔を近づけていった。
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