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【鬼滅の刃】ウタカタノ蕾【短編集】

第4章 一日遅れの祝い唄(竈門炭治郎生誕祭特別編)


二人の前を、金色の光がふわふわと通り過ぎ、やがてそれは瞬く間に増え、二人の周りに広がった。

「これは、蛍?へぇ、こんなところにもいるんだ」
「この時期にはよく蛍がいるって、なほが教えてくれたのよ。狭霧山でみて以来だけど、やっぱり綺麗ね」

そう言ってほほ笑む汐は、蛍の光に照らされて、幻想的な美しさを醸し出していた。そんな彼女を見て、炭治郎はゆっくりと言葉を紡いだ。

「俺、汐が宴に来なくてすごく寂しかったんだ。汐は甘露寺さんの継子として毎日頑張っているから仕方ないって思っていたけれど、それでもやっぱり、お前には俺の誕生日を祝って欲しかった」
「炭治郎・・・。本当に、ごめん」
「いや、いいんだ。一日遅れてしまったけれど、汐が俺の誕生日をきちんと覚えていてくれて、それで、こんな素敵な贈り物だってくれたんだ。そして今、わかったんだ。俺にとっては、お前とこうして同じものを見て同じ時間を共有できるってことが、何よりもうれしいんだって」

炭治郎はそう言って再び空を見上げた。星の光と蛍の光が混ざり合い、絵にも描けない美しい世界が二人を包む。

そんな彼を見つめながら、汐はぽつりと言った。
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