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【鬼滅の刃】ウタカタノ蕾【短編集】

第4章 一日遅れの祝い唄(竈門炭治郎生誕祭特別編)


その時だった。

「猪突猛進!!!」

その場の雰囲気をぶち壊すような声が響き、二人の前を茶色い影が駆け抜けていった。
そして、

「濃厚接触禁止ぃいい!!」

耳をつんざくような汚い高音と共に、黄色い影が二人に割り込むように突っ込んできた。

「炭治郎と禰豆子ちゃんがどこにもいないと思ったら、お前ら二人っきりで何やってんだ!!」

黄色い影、善逸は何故か涙を流し、顔中に青筋を立てながら唾を飛ばしてまくし立て、伊之助はたくさんの蛍に興奮しているのか背後ではしゃいでいた。

一気に騒がしくなったその光景に、炭治郎が苦笑いを浮かべたその時。
不意に炭治郎の視界が真っ暗になった。

「な、なんだ!?」

困惑する炭治郎の耳元で、汐の静かな声が響いた。

「炭治郎、悪いけどちょっとだけ我慢してて。あたし、部屋の掃除は苦手だけれど、ごみの掃除自体は得意なの」

そう言った汐からは、先ほどの果実の匂いは消えうせ、代わりに怒りと殺意の匂いが炭治郎の鼻を刺激した。

「ま、待て汐!殺意、殺意引っ込めて!!」

だが、炭治郎の懇願も虚しく、裏山は悲鳴と断末魔に包まれた。
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