第4章 一日遅れの祝い唄(竈門炭治郎生誕祭特別編)
「ごめんください、炭治郎いる!?」
汐は蝶屋敷に転がるように駆けこむと、そこには洗濯物を干している三人娘の姿があった。
「あ、汐さん!おはようございます」
「おはよう。ねえ、炭治郎いる?」
「炭治郎さんならつい先ほど、任務に行かれましたよ」
きよの言葉に汐は頭を殴られたような衝撃を受け、その場にへなへなと崩れ落ちてしまった。
そんな様子の汐に、三人娘は慌てて駆け寄ると縁側に座らせた。
「いったいどうしたんですか?顔色がものすごく悪いですよ」
「ごめん、心配かけて。ただ、あたしってなんでこうも間が悪いんだろうって」
汐は三人に、炭治郎の誕生日をすっぽかしてしまった事を話した。その話を聞いて、彼女たちは何か心当たりがあるかのように目を見開いていった。
「だから炭治郎さん、昨日から元気がなかったんだ」
「ずっと玄関の方を見てたのは、そのせいだったんだね」
「今朝も笑っていたけれど、どこかぎこちなかったのはもしかして・・・」
三人娘の話を聞いた汐は、ますます頭を抱えた。もしもこのまま、炭治郎と会えなくなってしまったらどうしようという思いまで生まれてきてしまっていた。
「と、とにかく。汐さんさえよろしければ炭治郎さんが戻るまで待ちますか?」
「え、いいの?」
「はい。汐さんの御顔を見れば、炭治郎さんきっと喜びますよ!」
なほとすみの言葉に、汐は力なくほほ笑むと空を見上げた。
「あ、あの。実は先ほどのお話を聞いて一つ提案があるんですが・・・?」
「提案?」
汐は怪訝そうな顔でなほをみると、なほは頷き汐の耳元に口を寄せた。
「実はですね・・・」