第6章 身だしなみは誰かの為に
「ふあぁ。あー。あんた、そこに立てよ」
欠伸を溢した御手杵様は、
なんの悪意も躊躇もなく、
『立て』と言った。
「…えっ?あの、御手杵…様?」
「ほら、早く立てよ」
「あ…あの…」
「ほら」
至極当然と言わんばかりに私の腕を掴む。
「御手杵、なに考えとるん?」
やり取りを見ていた博多様が口を挟む。
「は?」
「彩は何も着とらんとよ。もう少し気持ちば考えてあげんしゃい」
ビシッと効果音がつきそうなほどに、人差し指を御手杵様に突きだし、博多様が咎める。
「あぁー」
ちょっと面倒くさそうに頭をガシガシと書いた御手杵様は、
「博多がなに考えてるのかは知らんが、たぶん誤解だぜ。昨日、着せてやるって約束したんだよ」
と、誤解をときはじめた。