第6章 身だしなみは誰かの為に
「彼等はほかっておきまショウ」
呆れた顔をしている村正様。
未だに端末に向かいながら、今度は箪笥の中身が木綿と小紋しかないだとか、帯が半幅帯しかないなんて何を考えているんだとか、審神者様に文句を言いながら議論を重ねる4人の男士様に半ば軽蔑の目を向けながら、
「だから言ったでショウ?アナタの好みを聞く気すらないのデス。着せ替え人形と同じデス」
なんて、私に哀れみを向けた。
「いいんです。玩具としてぞんざいに扱われないだけで十分です」
そう十分だ。
村正様は『着せ替え人形』と言ったけれど、私はそうは思わない。
こうやって衣食住は揃えて貰えているし、審神者様も男士様達も私をちゃんと人として接して、人として扱ってくれる。
「それに…着物の種類もよくわかりませんし、帯の結び方も知りません。おまかせするのが一番かと…」
「huhuhu…」
「…村正様?」
なぜか笑いだした村正に「ちょっと出られマスか?」と訪ねられたので、意図は分からなかったがコクりと頷いた。
「ワタシのファミリーを紹介しマス。付いてきて下さい」
ススーッと扉をあけ、離れから足を踏み出した村正様の後を追いかけた。