第6章 身だしなみは誰かの為に
「「おじゃましまーす!!」」
「やっほー」
明るい声と共にやって来たのは三人の男士…様?
「僕は堀川国広で」
「ボクは乱藤四郎」
「んで、俺が加州清光ね」
どこからどう見てもお一人女の子が混ざっている様な気がするけれど、藤四郎と名乗ったと言うことは、秋田様や薬研様のご兄弟。男士様で間違いない。
「これ、主さんからです」
堀川様から渡されたものは、
「かたな…ちょう?」
「刀帳ですね」
「刀帳…」
「そうです。この本丸に居る男士達が一振りづつ記録してあります」
「ひと、ふり?…」
「僕達は元が刀なので、一振り二振りと数えます。それは、顕現した姿でも同じです」
「けんげん?」
「人間の姿って事です。この本丸には沢山の刀が居ますのでこれを見て、覚えて下さいね」
堀川様にそう言われて、パラパラと中を開いてみれば、確かに1ページずつ男士様の細かな事が記されていた。
「了解、しました」
「後、主さんからこれを預かって来ましたー」
乱様が差し出したものは、タブレット端末。
「彩さん。女の子は必要なものがたくさんあるでしょ?主さんがそれで注文していいって!!」
「必要なもの…。」
「そうそう、あるでしょ?」
確かに、和装しかないのは不便だった。
ルームウェアみたいなものとか洋服が欲しい。
それに、下着も欲しい。
和装には下着は要らないとは知っているけれど、やっぱり何も身につけないのは心地が悪い。
できれば、髪や肌をケアするものも…
でも…
「勝手に注文してしまってよいのでしょうか?」
「もちろん。大丈夫」
加州様が言う。
「主からお許しは出てるよ。本当は万屋に連れ行きたかったんだけど、それはダメだったんだよねー」
「資金の方も博多がちゃんと用意してくれたから気にしないで!!せっかくだからさ、彩さんに似合うものをボク達で選んであげる。さぁ、お買い物しよ!」