第5章 歓迎は心して受けよ
鏡に写る乱れた襦袢姿の自分。
わざと見せつけるような位置で、私の羞恥心を煽る言葉を吐く髭切様は本当に意地が悪い。
湯気によって、湿気を含んだ襦袢は身体のラインをなぞるようにまとわりつき、その薄い布地から肌の色が透けて見える。
加えて、髭切様が一糸纏わぬ濡れた身体で後ろから抱きつくので私の襦袢はさらに水分を含み、より鮮明に、下に隠した身体を映し出した。
「こうなると何も着てないより厭らしいよね」
スルリと入ってきた手が胸元の合わせを開く。
フニフニと感触を確かめるように触れたかと思えば、さらけ出された肌にチクりとした痛みが走った。
「…っつう」
先程とは違い、鏡に写るのは赤い跡のついた自分の首筋。
「証しが残るのは気分のいいものだね」
そう笑顔を見せる髭切様によって、さらに襟ぐりを引き抜ぬかれ、
肩に、
背中に、
チクリチクリと刺激が走る。
髭切様が言うところの幾つもの『証し』が私の身体に残されていく。
「ねぇ、君。自分がどんな顔してるか知ってる?見てごらん」
顎にかかる手によって、
クイッと強引に上げられた自分の顔は、
誰だか分からなくなるほど女人の顔をしていた。