第4章 『約束』は頷くべからず
額がひんやりとして、目を開けた。
この天井は与えられた部屋だ。
どうやら気を失ったらしく、
部屋へ運び込まれた様だ。
目を覚ますきっかけとなった、額に置かれた濡れ手拭いが冷たくて気持ちが良い。
寝ている私の頭上から「だから言ったろ」と、顔を覗かせたのは薬研様だ。
「や、げん様…あの…」
「今回に関してはあんたは悪くない。秋田が執着し過ぎただけだ。でも、身に染みてわかったろ?安易に約束を取り付けちゃいけねぇんだ」
「…はい」
「俺達は持ち物だからな。どうしても持ち主に執着するんだ。だから気をつけてくれ」
「肝に…命じます。でも、私は持ち主ではありません。どちらかと言えば、私も審神者様のモノです」
私がそう言えば、
「そうかもしれないな」と薬研様が笑った。
すごく、すごく、悲しそうに。
そして、
「それでも秋田はあんたに執着したんだ」と
「悪かったな。許してやってくれ」と
頭を下げた。