第4章 『約束』は頷くべからず
「彩様ー!!」
並べられた机の端の方で秋田様が手を振っている。
目の前の食事に視線を落としていた男士様達が、一斉に顔を上げ、今度は秋田様に注目をした。
「僕の隣で食べましょう。約束しました!!」
小さな掌を目一杯広げて、
ぐんと腕を伸ばして、
「こっちです。こっちです。」
と私を呼ぶ秋田様。
ざわざわと皆様の声がする。
「粟田口が取り込んだ」とか
「出遅れないように」とか
そんな言葉が聞こえた。
どうしたらよいのか?と隣を見れば、
審神者様はなんだか嬉しそうに「行っておいで」と私の背中を押した。
自分に与えられた膳を持ち秋田様の元へ向かおうと立ち上がる。
すると、目の前に誰かが立ち塞がった。
「僕が持って行ってあげるよ」
白いジャージの様な上着を肩からかけた男士様だった。