第4章 『約束』は頷くべからず
【見目麗しい】
この言葉は彼等の為にある言葉ではないだろうか??
そう思える程、男士様達がずらりと並んだ景色は壮観で美しかった。
湯浴みを終え、案内された大広間。
私が見た、只だだっ広く畳敷きが広がっていた風景とはがらりと変わり、宴会場のように机が並べられていた。
「彩だよ。よろしくな」
審神者様からそう紹介された時の気まずさといったらもう…。
男士様が一様に私の方を向いている。
どこを見渡しても、誰を見ても、そのご尊顔は美しく、そして…その美しさが怖かった。
鋭い刃物の様に突き刺さる視線。視線。視線。
「まだ小娘じゃないか」と誰かが言っている。
「可哀想に…」と
耳に入る言葉の端々が、
不安で、不安で、仕方がない。
「さぁ、食事にしよう!!」
なんて審神者様は言うが、私は食事どころでは無い。
この場から逃げ出してしまいたい…。そう思った。