第4章 『約束』は頷くべからず
「こっちが厠です」
「こっちが居間です」
「浴室はこっち」
「厨はこっちです」
小さな手で私の手を引いて、一生懸命案内をしてくれる秋田くん。
「ここは大広間。皆でご飯をたべます!!夕飯は彩様も一緒に食べましょうね」
キラキラしたお目目を向けられると無下には出来ず「はい」と答えた。
ぱぁぁっと、嬉しそうに秋田くんが笑う。
「約束ですよ!!そうですね、席は僕の隣がいいです!!兄さん達を紹介します。それと、彩様、一兄がいいです。一兄を選んで下さい!!」
燭台切様にも言われた『選ぶ』という言葉。
それに疑問も感じるけれど…
それよりも…
袖をちょんちょんと引っ張りながら、一生懸命訴えてくる秋田くんが、
なんだろう??すごく可愛い。
「ねっ?ねっ?『約束』しましょう」
と、可愛く詰め寄る姿につい頷きそうになると
「ちょっと待った!!」
誰かが声をあげた。