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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第8章 天下一品のご馳走&天下一の花嫁 / ◆



*天下一の花嫁*




「秀吉さん…重くない?」

「ん、大丈夫だぞ?」




人気ない、暗い廊下を美依を抱きかかえて進んでいく。
美依は暗がりでも解るくらいに顔を赤く染め…
俺を見上げては、恥ずかしそうにまた俯いた。

今日は俺と美依の祝言だった。
皆に祝福され、公にも正式に結ばれた俺達。
今は最高の幸福に満たされて…
でもこれが、幸せの終着点ではない。
むしろ始発点である、これから美依と俺は幸せになるのだ。

そして…
今宵は正式に結ばれ『夫婦』としての初めての夜である。
その状況に、俺は否が応でも心が踊り…
浮ついた心を隠すのに必死になっていた。




「な、なんかちょっと…」

「うん?どうした?」

「緊張…するね」

「……そ、そうか」




(美依…硬くなってるな、変に緊張する)

やはり『初夜』と言うのは、どことなく神聖な雰囲気があって、『恋仲』と『夫婦』では明らかに立場も状況も何もかもが違う。
そのせいなのか──……
いつものように体を重ねるだけなのに、やたらと神経が研ぎ澄まされる。

……今からこんなんでどうするんだ、俺




「わぁ……」




自室に着き、すでに敷いてあった褥に美依の体を降ろすと美依から小さく声が上がった。

『わぁ…』ってなんだよ、それ可愛いな。
そのまま寝かしつけ、上から覆いかぶさって見下ろせば、美依はますます顔を朱に染め、俺を見上げてくる。

これから、その白無垢を暴くのだ。
それは純白の清い花嫁を、俺に染めてしまうようで…
次第に鼓動が駆け足になっていく。




「秀吉さん……」

「……っ」




そんな目で見るな、優しく出来なくなるだろ?
自制心、自制心…と心の中で呟きながら、頬を指の背で撫でる。
滑らかな手触り、それを堪能してから、ゆっくり唇を塞いだ。

僅かに開いた唇の隙間から、舌を差し入れ、ゆっくり吐息ごと絡めていく。

さすれば、見る見るうちに美依の顔は蕩け出し、儚い吐息まで漏れ始め…
そんな息遣いや、艶っぼい顔に煽られて、次第に口づけを下に下にと降ろした。

その細い首筋を噛めば、肌がぴくりと跳ねる。
そんな敏感な所も可愛くて参ってしまう。







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