第7章 蝶々結びの秘め事 / 秀吉END
(美依…ありがとな)
俺を想ってくれて、受け入れてくれて。
酷い事をしたのに…
本当にお前は、いい女だ。
想いが通じ合った口づけは、今まで交わしてきたものとは全然違う。
もっと痺れて、麻痺するように…
もっともっとお前だけしか見れなくさせる。
奥まで探り当てて、咥内を味わって。
次第に絡み合う身体は、お互いの熱を求めて、口づけと同じく深くなっていく。
「美依……」
美依の背中が畳に付いてみれば、美依はなんだかとても煽情的な眼差しを俺に向けてきた。
閨では迷っているような顔だったのに…
今は求められているように感じ、心臓が高鳴る。
でも、美依は首を横に振って。
暴走しそうになる俺を、やんわり引き止めた。
「今は、だめだよっ…これ以上は」
「だめって顔してないぞ、お前」
「……っ」
「んー…でも止めとくか。あんまり体調良くないだろ?」
そう言って、優しく覆い被さり、抱き締める。
今はこれだけで充分だ。
美依が傍にいるだけで満たされる。
それも叶わないと思っていたのに……
この腕の中にいる幸せ。
それは身体を繋げるより、幸福感が強いから。
「秀吉さん……」
「うん?」
「出来ない分、いっぱい口づけ…したいな」
「……それ、煽ってるか?」
「え、違っ……!」
「ぷっ、冗談だ。愛してる…美依」
「んっ……」
────今日は、雨は降っていない
俺達は雨に隠れる事なく、
想いを流す事もなく……
通じ合って、花を咲かせた。
こんな眩暈がするほど満ちたりた気持ち。
それはこれまでの人生で初めてだった。
もう、俺はお前を離さない。
お前も、腹の子も……
一生幸せにしてやると誓う。
『秀吉さんはそのままで価値があるんだよ』
だから、お前に貰った言葉をお守りにして。
俺はこれからの人生を、
お前の為に、そして…信長様の為に。
価値を見いだせるように精進するよ。
俺達は抱き合い、何度も唇を重ね合いながら……
お互いの想いも重ねていった。
その夜は星が瞬く、綺麗な夜空で。
それに弾けるように、鮮やかに想いも瞬いていった。
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