第7章 蝶々結びの秘め事 / 秀吉END
「勝手な事言ってんのはお前だろ、秀吉。散々美依を乱雑に扱って、ガキまで孕ませて…今さらいい格好すんな!」
「……っ!」
「美依は俺が奥州に連れて行く。邪魔はさせねぇ、お前を殺ってでもだ」
「……だったら、殺してみろよ!!」
キインッッッ!!
再度刀と刀が交わり、金属音を立てる。
ぎりぎりと火花が散るほどに対峙しては……
視線も絡み合い、その殺気もぶつかり合う。
「やめて、やめて……!」
美依の悲痛な声が聞こえた気がした。
でも……ごめんな?
俺は、もうこうやって奪い返すしかない。
お前を愛してるから。
それを証明するためならば……
たとえ政宗を手に掛けるのも厭(いと)わない。
「俺は、俺はなぁ、政宗…中途半端な気持ちで美依を抱いてた訳じゃねぇんだよ!」
「……っ」
「俺なりに迷った、悩んだ…美依が愛しすぎて、でも価値のねぇ俺が選べる道は、それしかなかったんだ……!」
「くっ……!」
次第に政宗をじりじり押していく。
譲れねぇ戦いなら、絶対に負けない。
ここで負けたら、意味が無い。
証明するよ、美依。
どれだけお前を想っているか。
お前が…どれだけ深く愛されてるか。
『────秀吉さん』
だから、今度こそ、
心から俺を想ってくれ。
「終わりだ!」
「く、そっ……!」
「秀吉さん、だめっ……!」
政宗の刀が弾き飛ばされて、地に落ちる。
そして……
────ザクッッ……!!
倒れた政宗に跨り、その顔の横の地面に刀を突き刺した。
「……っ」
「……政宗。美依を癒してくれた事には感謝するが…手を引け。俺はもう迷わねぇ」
その燃える隻眼を見下ろして言う。
俺の想いを、言葉にして。
美依の心に突き刺されと願いながら。
「一端の流浪人から這い上がった泥臭さを舐めるなよ?俺は美依が好きだ、心の底から…馬鹿みてぇに愛してる。だから、お前には渡せねぇ。どんなに情けなくても、格好悪くても譲れねぇ!美依の腹の子は、俺の子だ────…………!!」