第7章 蝶々結びの秘め事 / 秀吉END
(あ………!)
城内を駆け抜け、外に躍り出る。
なおも走って……
城門の所に来た時。
少し先で見慣れた二人が、馬に荷物を積んでいた。
それは、政宗と美依。
おれは、弾けたように声を張り上げた。
「────政宗、美依っ!!」
瞬間、二人は驚いたように俺を見た。
美依の口が…俺の名前を型どったように思えた。
すぐさま駆け寄れば、政宗は美依を守るように己の背中に隠し……
そして何を思ったか。
刀を抜いて、俺の鼻先に刀先を突き付けた。
「……っ」
「……何の用だ、秀吉」
「政宗……」
「今更こいつに何を言う気だ?言っておくが…もうお前の出る幕はねぇんだよ」
「だが、美依はっ……」
「うるせぇ!」
政宗の怒りに満ちたような声が響く。
身体中から、殺気立っているようにも思えた。
こいつは怒ってる。
俺に刀を向けるくらい、激しく。
「お前の事情は知らねぇ、知る気もねぇ。だが、こいつは俺が一生守ると決めた。お前じゃなく、俺がこいつを一生愛す。だから…諦めな。お前がなんと言おうと…腹の子は、俺の子だ」
(やっぱり…そうか)
政宗の言葉で確信する。
やはり、政宗の子ではないのだと。
それを、政宗が認知するのか。
俺の子を…自分の子だと。
────だが、そんな事はさせない
みっともなくてもいい。
泥臭くても、情けなくてもいい。
美依を傷つけた分……
癒すのも、俺だ。
引いてたまるか、
────キインッッッ!!
「………!!」
「勝手な事言いやがって……」
「美依を愛するのは、俺だ……!」
俺の抜き放った一期一振が、政宗の刀を弾き返す。
さすれば政宗は目を瞠り……
その蒼い瞳を獰猛に光らせながら、俺を睨んできた。
そして、刀を改めて構え直す。
やる気だ、政宗は。
俺をここで殺してでも……
美依を守ろうとするのか。
そして、政宗はふっと鼻で笑い。
じりっと俺との間合いを詰めてきた。