• テキストサイズ

〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第7章 蝶々結びの秘め事 / 秀吉END






*****





「信長様、ご報告に上がりました」

「うむ、始めろ」




美依に拒まれてから二日経った。
あれから、安土に来た大名の娘に付き添って城下を案内したり、その他色々饗したり。

それから公務に追われていた事もあり、美依とは全く顔を合わせていなかった。

どうしてるか、気になっていたけど……
もしかしたら、もう俺の顔も見たくないのかもしれない。




(そーいや、政宗にも会ってないな……)




その事も少し気になっていた。
政宗は奥州に帰ると美依が言っていた。
いつ帰るのだろうか、それも聞いていない。

……確か、美依は誘われたと言っていたな

美依は何と返事をしたのだろう。
それも気になるが…俺が聞くのも何か変だ。

信長様に報告をしながらも、頭の中で美依の事がぐるぐる駆け巡る。

だが、それは俺の君主に見透かされていたらしい。
信長様は『やめろ』と低い声で言うと……
溜め息をつきながら、俺に冷たい視線を向けてきた。




「心ここに在らずだな、上っ面な話をするな」

「はっ、申し訳ありません……」

「公務に貴様が集中していないのも珍しいが」

「……」




(駄目だ、こんなんじゃ)


信長様にも愛想を尽かされるかもしれない。
美依だけではなく……

本当にそうなったら、俺はどうすりゃいいんだ。

深く深呼吸して、気持ちを整える。
きちんとやるべき事はこなそう。
そう思い直した時……

信長様は脇息にもたれながら、俺に向かって言葉を続けてきた。




「貴様、政宗と美依には会えたか」

「え?」

「先程二人が貴様を探していた、もう奥州に向かうからだろう」

「……っ」




信長様の言葉に、息が詰まる。
奥州に向かうために、二人が俺を探していた。
それはつまり……
美依は政宗と奥州に向かう事を選んだのだ。




(美依…だから組紐を拾わなかったんだな)




もう政宗とそれなりの関係になったのか。
そんな事を俺が気にしても駄目だけど。

美依を散々弄び……
いいように抱いて、傷つけたのは俺だ。






/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp