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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第7章 蝶々結びの秘め事 / 秀吉END







「教えられても、何も変わらねぇよ。俺はもう…美依に嫌われちまった。通じ合いたいなんて…無謀だったんだ」






俺の言葉に、光秀は何も言わなかった。
こいつは、もしかしたら俺と美依の関係を知っていたのかもしれない。

まぁ、知っていた所で…何も変わらない。
俺はすでに美依に嫌われた、これでもう俺は喜んで身を犠牲に出来る。



────時間切れだ、何もかも



雨音がうるさく耳に届く。
雨は地上の汚れを流して……
そして、海へと運んでいく。

俺の心も、綺麗に洗い流してくれたらいいのに。

美依を愛する気持ちを丸ごと。
無くしてしまえたら、楽なのにと……
そう願わずには居られなかった。















*****















俺は衝撃的に美依を抱いてしまった。
それはもう覆らない、だったらその機は逃すまい。

美依が俺を気にしているうちに、身体だけでもいいから離れられなくして。

見合いまでに美依が俺を好きになってくれたら、俺はどんな事をしてでも美依を幸せにしてやろう。

でも途中で嫌われたり拒まれたら……
俺は織田軍のために、喜んで犠牲になろう。

そんな、自分の中で始まった『賭け』
美依を振り向かせたくて、たっぷり愛情を注いだはずだった。

でも、それは結局美依には届かなかった。
当たり前だよな、身体だけの関係なんて……
そんなの女からしたら『遊び』に思われても不思議ではない。

やり方を間違えている自覚はあった。
でも、繋ぎ止める術はそれしか解らなかった。
それしか、振り向かせられないと思った。

『愛してる』なんて……
そんな綺麗な感情じゃなかったから。






────結果なんて、見えていたけど






俺は俺の価値が解らない。
織田軍の為に、身を投じるしか。
美依が求めてくれなければ…
一方通行では、なんの意味もない。

でも、苦しい。

あいつの温かさを知ってしまったから。
前以上に…あいつが愛しい。

間違えている俺でも、
受け止めてほしいなんて、浅はかだったのか。
美依………





お前にこんなにも溺れてる。
お前も…そうであれば良かったのにな。











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