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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第6章 蝶々結びの秘め事《共通ルート》/ ♥







「────…………!」




その時だった。
私は急に強い吐き気に襲われ、思わず口元を押さえて、近くの壁に寄りかかった。

お腹にものは入っていないから、吐瀉はしない。

だが、胃から胃液が逆流したのか……
喉の奥が熱くなって、苦いような酸っぱいような味が広がった。




(……っ本格的に具合悪くなってきた)




浅い呼吸を繰り返し、冷や汗が流れてきたのを手で拭う。

なんだか、身体全体が怠い。
目眩はするし、気持ち悪いし。
それを意識したら、余計に体調の悪さが増したような気がして……

私は小さくため息を付き、無意識に胸の辺りをぎゅっと掴んだ。

どうしたんだろう。
風邪でも引いたかな?
それとも他に原因が……




「あ………」




と、その瞬間。
私はある事に気が付き、瞬時に血の気が引いた。

そして咄嗟に指を折り、ある"日数"を数える。
それの結果がはっきり判明した時。

私は思わず、そこにしゃがみ込んでしまった。











────月のモノが、来ていない












正常な女性なら、毎月来る''それ"。
排卵されたものが、精子と出会わなければ、それは毎月必ずやってくる。

それが来ないと言う事。
そして、吐き気を伴う体調不良。

連日行われているのは……
激しい性行為。
それが意味する事は。

まさか、
まさか───………















(私…秀吉さんの…………?!)















「────美依?」

「……っ!」




顔が真っ青になった時。
頭の上から名前を呼ばれ、身体がびくりと跳ね上がった。

私はゆっくりと顔を上げる。
私を心配そうに見下ろしていたのは……
意志の強そうな、青い隻眼。












「政宗………」












ああ、神様。
これはどういう運命の悪戯なのでしょうか。

私は一体、どの道を選べばいい?
何が正しくて、
何が間違っているのか、

私には解らない。
私の進むべき道は、
どの道を進むのが正しいのか。




今の私には──……
行き先を照らす、光が見えない。









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