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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第6章 蝶々結びの秘め事《共通ルート》/ ♥





「べ、別になんでも……」

「なんでもないって顔じゃないだろ、何考えてたんだ?」

「……」




(……言ってもいいのかな、これ)


秀吉さんは政宗が奥州に帰る事、知ってるのだろうか。

その流れで告白されたなんて……
秀吉さんに話したら、どんな風に思うだろう。
少しは妬いてくれるかな…なんて考えて、それは即座に否定した。

妬くなんて、恋仲でもないんだし。
そもそも、お互い好きとかじゃないんだから。

秀吉さんなら『そっか』で済むかも。
私はそんな安直な考えで、今までずっと考えていた事を、秀吉さんに話してみることにした。




「政宗の事…考えてた」

「え……?」

「政宗、奥州に帰るんだって」




その時、秀吉さんの瞳が揺らいだ気がした。
びっくりするように見開いて……

でもそれは、きっと政宗が奥州に帰ることを知らなかったから、びっくりしてるんだろうなと。
私は勝手に解釈して、少し俯きながら言葉を続けた。




「それで、その…一緒に奥州に来ないかって言われてて、政宗に」

「……」

「その事でちょっと悩んでたの。それだけだよ」




一気に言葉を吐き出して、息をつく。
こうして言葉に出してみたら…なんか現実の事なんだな、としみじみ実感してしまった。

政宗に言われた時は、若干思考がふわふわしてしまって、妙にリアリティがなかったのだけど……

それは、当たり前だよね。
あんな風に女としては、言われて嬉しい言葉を言ってもらったんだから。

私の中で答えはまだ出ていない。
だから…こうして悩んでいるのだけど。




(……あれ?)




その時。
撫でる秀吉さんの手が止まっている事に気がついた。

私は再度視線を秀吉さんに戻す。
が、次の瞬間……
どきり、と心臓が嫌な音を立てた。




「秀吉、さん……?」




こちらを見ている秀吉さんは。
何だかとても…怒っているように見えた。

唇を一文字に結んで……
何かを堪えているような、我慢しているような。

瞳は潤み、熱を孕んでいるけれど。
私を抱く時に見せるような、欲情している顔とは違って……

どちらかと言うと、何か。
とても、黒い雰囲気を醸し出している。







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