第6章 蝶々結びの秘め事《共通ルート》/ ♥
(……っ)
政宗の言葉にびっくりしすぎて、戸惑って俯いてしまう。
故郷に私を連れて行きたいなんて。
そんなの…まるで恋仲同士みたいだ。
なんで政宗はそんな事言うんだろう。
私に…一緒に来いだなんて。
「一緒に来いって、なんで……?」
「……美依」
「……っ」
すると、政宗は私の顎を捕え、ぐっと上を向かせた。
さすれば、自然と視線が絡み合う。
意思の強い…青い宝石みたいな瞳と。
そして、政宗はそのまま言葉を紡ぐ。
視線のように真っ直ぐで、曇りのない、
────純粋な想いを
「俺は、お前が好きだ…美依。お前とこれから、人生を共に歩いて行きたい。だから、奥州に連れて行きたいんだよ。俺と一緒に来いよ、絶対…死ぬほど幸せにしてやる」
『────ごめんな?』
(え……?)
その時。
何故か思い浮かんだのは、秀吉さんの顔。
少し切ないような、痛いような。
でも抗えない熱を瞳に宿した秀吉さん。
なんで…どうして?
どうして、秀吉さんを思い出すの?
「ま、さむ、ね……」
「どうだ、美依」
「どうだって、い、いきなり言われても…」
「……」
「わ、私……」
頭がうまく働かない。
私、政宗に告白されたんだ。
好きだから、一緒に奥州に来いって。
なにこれ。
その言葉…単純に嬉しいはずなのに。
素直に喜べない。
これ、喜んでいいとこじゃないの?
政宗みたいな人に告白されたのに……
『────本当にお前は可愛いな』
秀吉さんが頭にちらついて、
頭から離れていってくれない。
「……」
私が口ごもっていると……
政宗は小さくため息をつき、私の顎から手を離した。
そのまま肩を掴まれ、背中を壁に押し付けられる。
政宗は私を壁に追い詰めて。
そして、言った。
私の心の──……ど真ん中を占める理由を。
「秀吉が居るから…答えられねぇのか?」
「え……?」
「俺が知らないとでも思ってんのか」
「お前と秀吉の関係。秀吉は夜な夜なお前の部屋に通ってるが…ただそれだけの関係って事も。俺を甘く見るなよ、美依」