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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第6章 蝶々結びの秘め事《共通ルート》/ ♥






「あぁっ…ひで、よし、さ……っ!」





今日もあの日のように雨が降る。
蘇るのは…あの決定的な雨の日の出来事。

まさに、衝動的だった。
私と秀吉さんがこんな関係になる……















────その序章の、秘め事















「わぁ…ずぶ濡れになっちゃった」


その日、私は仕立てた着物の納品を終え、薄暗い道を一人お城に向かって歩いていた。

しかし……
途中で雨に降られ、傘を持っていなかった私は、ぐっしょりと濡れねずみになってしまい。

途中の軒下で雨宿りをしながら、雨雲が通りすぎるのを待っていた。




「うー…寒いなぁ……」




濡れた身体はたちまち冷えてくる。
このままでは風邪を引いてしまいそう。
そんな風に思った時……

私と同じようにずぶ濡れになった人影が、軒下に駆け込んできた。

その人を確認し、私は目を見開く。
それは私を妹のように可愛がる……
そんな兄貴分の男の人だったからだ。




「秀吉さんっ……!」

「美依…お前こんな所でどうしたんだ?」

「着物の納品を終えたとこなの。帰り道で降られちゃって…」

「そっか、いきなり降ってきたからな。俺もちょっと野暮用で出てきたんだが…こんなに降られるとは思ってなかった」




秀吉さんは私を見て驚きながらも、困ったように眉をひそめた。

お互いぐっしょぐしょのずぶ濡れ。
身体がぞくっと冷えて、思わず私がくしゃみをすると……

秀吉さんは慌てたように、私の身体を大きな手でさすった。




「寒いか?お前もずぶ濡れだな……」

「結構濡れちゃったから、ちょっと寒い…」

「そっか、うーん……」




すると、秀吉さんはきょろきょろと辺りを見渡し。
何かを見つけたのか『あっ』と小さく呟いた。

そして、私の肩を抱くと……
そっちの方を指差して私に言った。




「あそこに宿屋があるから、部屋借りるぞ。雨止むまで雨宿りしつつ、着物乾かさないと…お前が風邪ひいたら困るからな」




そんな風にして、宿へと促す秀吉さん。

そして、部屋を借りる事になった私達。
ただ雨宿りして、着物を乾かす。
それだけだったなら良かったのに……

私達は、それだけでは済まなかったのだ。







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