第6章 蝶々結びの秘め事《共通ルート》/ ♥
────私達、恋仲でもないのに
どうして秀吉さんはこんな事するの?
「────美依」
「……っ秀吉さん!」
その日の夜遅く、雨が降り出した頃。
秀吉さんは『合図』通りに私の部屋にやってきた。
立ち上がって出迎えれば、秀吉さんはまるで愛おしむように私の頬を指の背で撫で……
そして、ふわりと私の身体を腕の中に閉じ込めた。
「遅くなってごめんな」
「ううん、そんな事、ないよ……」
「美依……」
「……っ」
掠れる甘やかな声で名前を呼ばれ、ぞくっと腰に痺れが走る。
そのまま秀吉さんは私の顎を掬い……
そして、柔らかく唇を塞いだ。
忍び込んできた舌、奥までまさぐられ、さすれば思考も蕩け出す。
やわやわと巧みに刺激されれば……
『気持ちいい』が身体中を支配して、私は何も考えられなくなってしまった。
「……褥、行くか?」
そして、誘われるがままに首を縦に振る。
秀吉さんは私を軽々と抱き上げ……
運ばれた柔らかな褥に身体を降ろされれば、上から切なげな眼差しが降ってきた。
どこか痛いような、悲しいような。
でも熱を孕んだ、熱い視線。
それが何を意味するのか……
それは私には解らないけれど。
「美依……っ」
「あっ……」
秀吉さんが、私の首筋を噛む。
強く吸われ、襟元に手が掛かって……
そして、暴かれていく。
その大きな手で、隅々まで。
私は秀吉さんの手の中で悶え、そして乱れる。
また今夜も始まるのだ。
私と秀吉さんの蜜なる秘め事が。
気持ちなんて通じてない、身体だけの繋がりが。
私はそれを拒めない。
与えられる快感が、心地良すぎて……
抗う術なんて、知らない。
────どうして、こうなったのだろう
私と秀吉さんは兄妹みたいな関係だった。
秀吉さんは私を、これでもかと言うほど可愛がってくれていたし…
それ以上もそれ以下もないと思っていたのに。
それが崩れたのは……
ある雨の日がきっかけだった。
あの日、あんな事があってから……
私と秀吉さんの立ち位置は、大きく変わってしまった。