第5章 【誕生記念】Sugar HONEY-金平糖の罠- / ◆
「美依……?」
「秀吉、さん…はぁっ……」
その、トロンと蕩けた表情。
瞳は潤み、頬を林檎みたいに染め…
そして、唇から荒い息をしている。
さっきまでの美依とは違い、どこか色香を孕んで見えた。
そして感じる艶かしい雰囲気。
俺は、自然と手が伸びると…
美依の頬を包むように手を当てていた。
「どうした、美依……?」
「秀吉さっ…熱いの……」
「え?」
「身体が熱くて…なんか、変……っ!」
(美依……)
さっきから感じている、自分の身体の異変。
まさか、同じような感覚を美依も味わっているのだろうか?
身体が熱くて、ぞくぞく疼いて。
まるで、渇いていくかのような…
さっきまでは、お互い普通にしていた。
そう、金平糖を食べるまでは。
『もし踏ん切りがつかないのなら、枕元にある金平糖でも食え。案外、気持ちが上がるかもしれないぞ?』
(…っまさか、この金平糖……!)
さっきの光秀の言葉が脳裏に過ぎる。
まさか、この金平糖には、何か気持ちが高ぶる成分でも混ぜられていたのではないか?
例えば、媚薬。
催淫剤のようなものとか…
それなら、この異変も納得がいく。
俺達が口にしてしまったのが、媚薬入の金平糖だとしたら。
そして───………
効果が出てしまった時の対処法も。
「くそっ、まんまと策にハマった…!」
「秀吉、さん……?」
「美依、俺の言う事…いい子に聞けるか?」
「え……」
美依の熱い頬に手を滑らせ、しっかり瞳を覗き込む。
俺はこんな状況下でも…
『気持ち』のない交わりは嫌だ。
「いいか、俺達が食ったのは、おそらく媚薬入りの金平糖だ」
「び、やく……?」
「そう、これはお互いで鎮め合わなければ、効果が抜けるまで辛いままだ。解るか…鎮め合うって、ここで濡事をするって意味だぞ」
「……っ」
「俺はこんな時でも、お前の気持ちを大事にしたい。俺と…そうなるのは嫌か?俺は、お前の事…好きだけど」
説明しながら、気持ちまで伝えてしまう。
もし、美依が嫌と言うならば…
何としてでも『そうしたい相手』を連れてきてやろうと思った。