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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第5章 【誕生記念】Sugar HONEY-金平糖の罠- / ◆





「美依……」

「と、とりあえず、落ち着こう?そ、そうだよ、金平糖でも食べて…ね、ねっ?」

「あ、そ、そうだな、金平糖食うか」




(なんだ、この空気…いたたまれねぇ!)


お互いの間に、ぎくしゃくした空気が流れる。

そんなのは当たり前だ。
『そうするため』に褥まで用意されて、しかもここは普段誰も来ない蔵だぞ?

いくら声を上げようが誰も聞いてないって言う、まさに『おあつらえ向き』の環境が整ってしまっているのだ。

しかも、あの二人の言葉じゃ……
既成事実を作らねば、絶対ここからは出してもらえない。






俺にとっては、願ったり叶ったりだが、
肝心の美依はどう感じているのだろう?






「……」

「……」


とりあえず俺達は、敷かれた褥に並んで座り、枕元に用意されていた金平糖を二人して頬張る。

ぽりっぽりっぽりっ……
無言のまま、二人の金平糖を噛む音だけが情けなく響いて。

こんな事をしてる場合ではないのでは。
とにかく出る方法を考えないと……



(……って、美依を抱ければ解決なんだが)



俺はもちろん、そうしていいと思っているし。
むしろ、そうしたいと思っていたし……

だが、美依の気持ちは?
美依は俺の事をどう思っているのだろうか。

そう思いながら、また一粒、金平糖を口に入れる。

甘ったるい味が口に広がって。
でも、それだけじゃない。
金平糖を食べ始めてから……
俺は身体にある『異変』を感じ始めていた。






(────なんか、あっちぃな)






まるで身体の内側から熱が沸き上がる感覚。
そして、ぞくっぞくっと腰を這い上がるような痺れ。

なんだこれ、身体がおかしい。
金平糖を食っただけだぞ?
息まで軽く上がり始め……

身体に感じる異常に、俺が疑問に思っていると。




「んっ……」




隣に居る美依が、小さく息を詰めたのが解った。

俺は反射的に美依の方を見る。
すると───………









(────…………え?)









その美依の異様な様子に。
腰がぞくりと疼いて、俺は思わず目を見開いた。







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