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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第5章 【誕生記念】Sugar HONEY-金平糖の罠- / ◆






(褥って…)




チラリと視線を後ろに移せば、そこには一組だけ敷かれてある褥が目に入る。

ここには俺と美依が居て…
俺達が『通じ合う』ために敷いてある褥。
勿論、一緒に寝る…と言う意味ではないのだろう。

美依と褥で『通じ合う』

それが、意味すること。
それはつまり───………






────美依と身体を繋げろと?






「……っ冗談じゃねぇぞ!」

「その意味を理解したか、秀吉〜?」

「政宗、ふざけるんじゃねぇ!」

「俺達とて冗談でこのような事はしない。お前達は…放っておけば、いつまでも"偽りの兄と妹"のままだからな」

「…っ光秀、あのなぁ……っ!」




隣にいる美依を見れば、真っ赤になって俯いている。

確かに、美依の事は好きだ。
妹に見れなくなって…
それでも、気持ちに蓋をしていたのは確かだ。

だって、美依の気持ちは──……?

美依が俺を兄と慕ってくれているのなら、兄でいてやるのが一番いいと思っていたし。



(美依に気持ちがなきゃ、そんな事出来ない)



通じ合うなら、身体だけでなく心も。
心も繋がらなくては…だめだろう?




「もし踏ん切りがつかないのなら、枕元にある金平糖でも食え。案外、気持ちが上がるかもしれないぞ?」

「金平糖って光秀…!」

「じゃ、俺達は一回ここを離れるからな。こまめに様子は見に来てやる」

「ちょっ…待て、政宗!」

「頑張れよー」




足音が遠ざかっていき、声も聞こえなくなる。
どうやら、扉に鍵を掛けたまま……
本当に二人はいなくなってしまったらしい。

俺は美依と二人、取り残され。
美依も事の次第を理解したのだろう、真っ赤になって俯いたまま、何も言わない。




(どうするんだ、これ…!)




俺は額に手を当て、大きくため息をついた。
通じ合わなければ…って言ったって、美依はどうなんだよ。

俺の事…少しは男として見てくれているのだろうか。

前髪を掻きむしり、美依を見れば、美依もそーっと俺を見上げてきて…

それは困っているような、恥ずかしがっているような。
そんな可愛い顔をしていたので、思わず心臓が一回大きく跳ねた。







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