第3章 世界で一番お姫様-始まり-/ ♥
「んぅ………?」
「起きたか、美依?」
二度目の眠りは浅かった。
甘い声で囁かれ、うつらうつらしていたのがハッキリしてみれば……
秀吉さんはもう起きていて、いつものように私の髪を優しく梳いていてくれた。
胸元から顔を上げれば、優しい視線と絡み合う。
私はそれで酷く安心して……
笑みを向けると、秀吉さんも優しく返してくれた。
「おはよう、秀吉さん」
「ん、おはよう。身体は辛くないか?」
「少しだるいけど、大丈夫」
「久しぶりだったから、ちょっと無理させちまったな。ごめん」
(やっぱり秀吉さんは優しいなぁ……)
目いっぱい愛されて、蕩かされて。
多少無理した後は、気遣ってくれる。
秀吉さんは…こういう人だ。
あの路地裏での暴挙が嘘みたい。
本当に嫉妬したくらいで……
秀吉さんがあんな風になってしまうなんて。
『好きなんだ、どうしようもないくらい』
秀吉さんは私にそう言った。
私は…幸せ者だなぁ。
愛する人に、こんなに思ってもらえて。
「大丈夫、幸せだからいいんだっ」
「美依……」
「いっぱい愛されて、嬉しかった」
「……そっか、なら良かった」
秀吉さんはふわりと私の頬に手を当てる。
そのまま額、頬と淡く口づけられ……
最後に、やんわりと唇を塞がれた。
優しい温もりが落ちて、幸せで満ちる。
啄むような軽い口づけはどんどん深くなり、誘われて舌を出せば、絡め取られて吐息もゆるりと混ざった。
────誰もいない二人の世界で
このまま時間が止まってしまえばいいのに
自然と秀吉さんの身体が覆いかぶさってきて、私は背中に手を回す。
まだ秀吉さんの身体は熱い。
そして、私の身体もまだ熱い。
火照った肌が重なれば……
二人だけの永遠がここにはあるような気がして、また心が満たされていく。
「あー…これはちょっとまずい」
やがて、秀吉さんが私を上から見下ろしながら、困ったように笑った。
そして、コツンと額同士がくっつき……
息がかかるほどの距離で、秀吉さんは少し熱っぽい声色で言った。