第10章 【誕生記念】滄海と花明かりの煌 / ◆&♥
「……っ!」
咥えた時、美依の花びらにも触れてしまったのだろう。
美依が息を詰めて、肌を粟立てた。
温泉で桜の花びらが舞う中、愛しい女を愛でるなんてどこか風流だな。
己の唇についた桃色の欠片を指で取り、美依に見せる。
すると、少し濡れたそれを見ながら…美依は赤い頬をさらに赤くさせた。
「ほら、花が咲いてただろ?」
「……っそういう、事……」
「それだけじゃなく、可愛い花も真っ赤になって咲いてるけどな」
「あぁっ……!」
今度こそ俺は、美依自身の華弁に唇を押し当てる。
そのまま舌先を中に忍び込ませたら、甘ったるい愛液が流れてきて、口の中で溶けた。
美依の味は目眩がするほど甘美だ。
俺だけを覚えているその場所を、優しく優しく愛していく。
華を甘噛みしたり、蜜口を舌で刺激したり。
ついでに親指で、少し上の花芽にも触れれば……
中からはさらに蜜が溢れてきて、美依が我慢出来ないといったように甘やかに乱れた。
「あっぁっ…ん、ぁ、やぁ……っ!」
「はぁっ…美依……」
「らめぇっ…あ、ぁっそんな、したらぁぁ」
(誕生日だから、お前自身を贈ってほしい)
美依に出会い、きっと俺は欲張りになった。
以前なら誕生日なんてものは、ただ一つ歳を取るだけの日で……祝ってはもらっても贈り物に何が欲しいとか、そんな物はなかったから。
むしろ、俺が望んでいいのは、信長様の待望を支え叶える事だけ。
俺自身の望みなど、考えたこともなかった。
でも、今はお前がいる。
こうして愛し合い、気持ちを通わせて……
俺はお前の全てが欲しいと、そう思った。
髪の一本一本、頭のてっぺんから爪先まで。
全て自分のものにしたいし、誰にも奪われたくないし。
「ひで、よし、さっ…ぁあっっ!」
その声も、俺を求める心も。
お前の全部を感じて、蕩けて混ざり合う。
その瞬間の悦が、堪え難く愛しいから。
────だから、もっと欲しくなるんだ
「秀吉、さっ…も、果てた、からぁ…!」
「んっ……」
「それ以上は…っぁあ…また、来ちゃ…!」
どうやら再度気をやったらしい。
それでもまだ入口は震えているし、まだまだ気持ち良くなれそうだけど。