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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第10章 【誕生記念】滄海と花明かりの煌 / ◆&♥




(​────本当に、愛してるよ)



この世で愛せる人に出会う確率はどのくらいだろう。
そして、その人に愛される確率は……きっと奇跡に近い。

それでも、私は必然だったと思うんだ。

秀吉さんと出会えたこと。
お互いに惹かれ合って、愛し愛されたこと。
きっと私達は運命の赤い糸で結ばれてるって、そう信じてもいいよね?
もう、この温もりからは抗えないから、

ずっとずっと、傍に居たい。
貴方の傍で……幸せと温もりを感じていたい。



「んっ…秀吉、さ……」



口づけの合間に名前を呼んだら、さらに深く絡み取られた。
私はその甘い触れ合いに溺れながら、また想いを強くする。

離れられない、もう。
桜のように儚く散らないで、ずっとずっとこの胸に咲き誇っていて。

滄海に花明かりが煌めく。
私と秀吉さんは桜の木の下で、何度も口づけ合いながら、その想いを混ぜ合わせていった。
私の沈んだ心は、すっかり解けて……
与えられる温もりに、気持ちの高揚感を覚えたのだった。










*****










美依が案内したがっていた場所は、その桜があった海岸のすぐ側にあった。
『海の見える温泉』という事で、近くには温泉が湧き出ており、小さな宿も近くにあって。
前もって宿屋には文を送っていたらしいが、到着が随分遅れたことで、宿主の老夫婦がやたら心配をしていた。


(なんだか落ち着く宿だな)


こじんまりとした狭めの部屋だが、掃除がよく行き届いていて清潔感がある。
そして、あの桜の木のものと思われる桜の枝が、一輪挿しに小綺麗に飾ってあり……
素朴な雰囲気を醸し出すその宿は、さすが美依が選ぶ宿だとやたら納得した。

温泉に来たからには、早速浸かって疲れを取りたい。
美依を意気揚々と温泉に誘えば、一緒は恥ずかしいから先に入ってきて!だ、そうだ。
恋仲の女と温泉に来ているのに、一緒に入らないなんて理屈が通るか。

俺は半ば強引に美依を連れ出し、脱衣場で着物を脱がせて催促をする。
連れて来てしまえばこちらのものだ、美依も諦めて一緒に入るだろう。
まあ、お互い裸になって温泉に浸かってしまえば、多少気持ちが高ぶるのは仕方ない。

それがどういう事かと言うと​──……




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