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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第10章 【誕生記念】滄海と花明かりの煌 / ◆&♥




(えーっと、平野を抜けたら東の方向…)


私は再度地図を広げ、場所を確認する。
現代とは違い、標識がある訳じゃないから…
目印を見失わず、曲がる場所を絶対間違えないようにしなければならない。
そう思いながら前方と地図を交互に確認していると、秀吉さんが馬を寄せてきて、私の手元を覗いてきた。



「大丈夫か?俺が地図を見てやるから貸してみろ」

「だ、大丈夫!それじゃ意味ないもん」

「でもな……さっきから危なっかしいぞ。馬を走らせながら地図を見てたんじゃ」

「ごめんね、いまいち不安で…でもしっかり案内するから安心して!」



思わず胸をこぶしで叩いてみせる。
秀吉さんは心配そうな顔をしていたが、私の言うことに頷いてくれた。
……やっぱりルートを頭に叩きこむんだったな。
確かに地図を見ながら馬を操るのは容易ではない。
正直、私はそこまで器用ではないから。

よし、今からでも頭に入れて極力地図を見ないようにしよう。
そう思い、私は温泉までのルートを何度も確認すると、懐に地図を仕舞った。
複雑な地図ではない、方向さえ間違わなければ到着出来るはずだ。
だって、秀吉さんの心配してる顔は見たくない。
些細なことでも心配かけたくない…そう思うから。



「ん?地図、仕舞っていいのか?」

「覚えたから大丈夫だよ、やっぱり危ないしね」

「……なら、いいんだが」



秀吉さんはいまいち納得してないように見えたが、それでも私を信用してくれるらしい。
私の進む方向に、秀吉さんは付いてきてくれた。
こうやって信頼してくれてるんだもん、それに応えたいって思う。


(よし、気を引き締めて行こう!)


そうして、私は秀吉さんを案内しながら馬を走らせた。
平野を抜け、村に入ってそこを抜けて…そんな風に移動して行ったのだが。
やっぱり、地図を仕舞ったのは間違いだった。
地図を見る時は一回止まって確認して、面倒でもそうやって行ったら良かったのに。

私は迷ってしまった。
全く別の道を来てしまったのか、夕方になっても温泉の湯気すら見えてこない。
おかしいな、こっちで合ってるよね?
不安なまま頭の中の地図を頼りに進んで、確信が持てないのに馬を走らせて。
そんな事をしていたら、とっぷりと日が暮れてしまったのだ。





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