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〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第9章 【誕生記念】妹なんかじゃいられない! / ◆&♥





「ほんっとーにお前は……」

「わっ……!」




美依の肩を引き寄せ、胸にすっぽりと躰を抱き締めると、美依は小さく声を上げた。
つまり、閨でもうまく立ち回れれば、美依の言う『大人の女』になれると思っていたのか。


(ああもう、可愛すぎるだろ)


俺のために一生懸命化粧をして。
部屋の前で、どんな思いで待っていたのか。
それを思うだけで、心を鷲掴みにされたように苦しくなる。




「お前は妹なんかじゃない。俺からしてみれば、桁外れにいい女だ。俺はそれを解ってる、お前はお前のままでいいんだよ」

「で、でも……っ」

「でもじゃない。いつものお前が一番いい、俺はそれで満足だからな」

「あ…それ、光秀さんも言ってた」

「……光秀?」




急に他の男の名前が出て、思わず顔を顰めた。
そう言えば美依、最近光秀と随分親密になっていたようだし……
つい甘い雰囲気に流されて、そこの言及を忘れていた。

すると、美依は俺の胸にしがみつきながら、少しだけ目を泳がせた。




「今のままの私でも、秀吉さんが満足ならいいんじゃないかって。でも私がそれじゃダメだって言ったから…光秀さんは私に色々教えてくれたの」

「教えてくれたって……?」

「化粧の仕方とか、いい匂いの香とか、色々用意してくれて…大人の女はそれなりの色気と駆け引きを持ち合わせているものだから、それで秀吉さんを誘惑してみるといいって言ってくれて」

「……」

「だから私、光秀さんに色々教えてもらって、今日作戦に出たのに…やっぱり上手くいかなかったなぁ」




(……つまり、全て光秀の入れ知恵か)

ようやく合点がいった。
美依の"らしくない"行動は、全て光秀に教わった事を実行しようとしたからなのだ。
そして……
ここ数日、光秀と美依が仲が良かったのは、美依が光秀から色々教わっていたから。
まったく…色々と疑って焦れたではないか。

でも、ちょっと待て。
まさか『気持ち良く』する方法まで、光秀に教わったとか言う気ではないだろうな?
男の熱の扱い方まで教わっていたとしたら……

それを思ったら一気に心に嫉妬心が生まれ、俺は美依の顔を覗き込むと、若干険しい口調で問いかけた。






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