• テキストサイズ

〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第9章 【誕生記念】妹なんかじゃいられない! / ◆&♥






「お、お願いします……!」




気がつけば咄嗟にそう答えていた。
普段は何考えてるか解らず、私に意地悪してばかりの光秀さん。
今回もただの意地悪かも、なんて。
それは何故か、その時は考えてもいなかった。

本当に私は悩んでいて……
藁にもすがる思いだったのだから。

こうして、私は光秀さんの提案の元『秀吉さんを誘惑しよう大作戦』を決行する事になった。
三月も、もうすぐ十七日。
そう……愛しい人の誕生日だから。

その大切に日には、貴方に相応しい女に。
もっと好きになってもらえるように……
私はただそれだけをひたすらに思い、己を高めていったのだった。















*****















────最近、美依と光秀が仲が良い

この前も二人で何かこそこそと話しているのを見かけた。
しかも俺に内緒で、美依は光秀の御殿を何度も訪れていると、女中から話を聞いた。

別に二人の関係を疑う訳では無い。
美依に限って、裏切るなんてことは絶対に有り得ないから。
でも……少し面白くないのは確かだ。
俺に内緒で、何をやっているのだろう。

そして…堺から帰ってきた辺りから、美依の様子がおかしいのは気づいていた。
露店で妹扱いされた事が、そんなに嫌だったのか。
お前は俺の愛しい女だ、俺がそれを解っていれば、他人になんて言われても構わないと思うのに。

あの時、明らかに落胆していた美依。
光秀と最近親密なのは、それと何か関係しているのだろうか?
だって、光秀と居る時の美依は案外元気に見えるから。






(面白くねぇな…俺が笑顔にしてやりたいのに)






「……秀吉様、大丈夫ですか?」


三月も半ば、今日は十六日。
思わず思考が明後日の方に飛んでいっているのに気がつき、俺は慌てて前にいる三成に視線を向けた。
何故だろう、相手が三成ならまだ安心出来るのに……
秘密の多い光秀だからこそ、やたらと気になる。

だが、仕事中に考える事でもない。
三成に心配されるようでは、もう色々と末期かもしれないけれど。
俺は囚われている思考を振り切り笑みを浮かべると、何事もないように三成に返事を返した。






/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp